航空従事者とは、日本の国家資格であり、航空従事者技能証明の保持者です。
航空機に乗り組み運航に従事、航空機の整備または修理など、必要な技能を有し、技術証明書を交付されているものであつて、その資格は操縦士、機関士、整備士、航空士、通信士に大別されます。
現代社会においての航空機の機器は大きな発展をし、作業が軽減されたため特に民間においては機関士、航空士、(専任の)通信士は減少しています。
このページにおいては操縦士、整備士、通信士を重点に以下記載します。
航空従事者技能証明の取得方法
航空従事者の養成施設を国土交通大臣が指定しています。
空法施行規則第50条の2第3項により、操縦士(パイロット)を養成するフライトスクール、航空整備士を養成する専門学校それぞれが、一定の条件を満たすことで航空従事者養成施設として国土交通大臣よりの指定を受けています。
「技能証明書の交付(免許証の交付)」を受けるに至る方法として、直接に国の学科試験と実地試験を受ける方法と指定養成施設を経由する方法、二つの方法があります。
養成施設を経由しない技能証明書の交付まで
「国の学科試験」
↓合格
「操縦訓練」
↓申請
「国の実地試験」
↓合格
「技能証明書の交付」
指定養成施設課程を経て技能証明書の交付まで
「学科教育」と「実技教育」
↓履修
「国の学科試験」
↓合格
「(指定養成施設で)技能審査」
↓合格(課程の修了)
「技能証明書の交付」
指定航空従事者養成施設の一覧
以下国土交通省資料より(官公庁を除く)指定航空従事者養成施設について(令和4年9月時点)
操縦士課程の指定航空従事者養成施設
指定養成施設の名称 | 航空機の種類と教育課程 |
---|---|
日本航空株式会社 運航本部運航訓練部 | ・飛行機の 事業用操縦士の技能証明 (限定変更) ・定期運送用操縦士の 技能証明(限定変更) ・准定期運送用操縦士の 技能証明(限定変更) |
全日本空輸株式会社 整備センター教育訓練部 | 飛行機の ・事業用操縦士の技能証明 (限定変更) ・定期運送用操縦士の 技能証明 (新規/限定変更) ・准定期運送用操縦士の 技能証明(限定変更) |
panda・Flight・ Academy株式会社 | 飛行機及の ・事業用操縦士の技能証明 (限定変更) |
本田航空株式会社 | 飛行機の ・事業用操縦士の技能証明 (限定変更) ・計器飛行証明 |
公益財団法人 日本学生航空連盟 | 滑空機の ・自家用操縦士の技能証明 |
公益社団法人 日本滑空協会 | 滑空機の ・自家用操縦士の技能証明 |
学校法人東海大学 飛行訓練センター | 飛行機の ・事業用操縦士の技能証明 ・計器飛行証明 |
学校法人法政大学 飛行訓練センター | 飛行機の ・自家用操縦士の技能証明 ・事業用操縦士の技能証明 (限定変更) ・計器飛行証明 |
学校法人ヒラタ学園 航空事業本部 | ・飛行機の計器飛行証明 |
岡山航空株式会社 | ・飛行機の計器飛行証明 |
整備士課程の指定航空従事者養成施設
指定養成施設の名称 | 航空機の種類と教育課程 |
---|---|
株式会社 JALエンジニアリング 人財開発部 | 飛行機の ・一等航空整備士の 技能証明 (新規/限定変更) ・一等航空整備士及び 航空工場整備士の 技能証明の基本技術 ・一等航空運航整備士 の技能証明 |
全日本空輸株式会社 整備センター教育訓練部 | 飛行機の ・一等航空整備士の 技能証明 (新規/限定変更) ・一等航空整備士及び 航空工場整備士の 技能証明の基本技術 ・一等航空運航整備士 の技能証明 (新規/限定変更) |
学校法人神野学園 中日本航空専門学校 | 飛行機と回転翼航空機の ・二等航空整備士の 技能証明(飛/回) ・二等航空運航整備士の 技能証明(飛) ・二等航空運航整備士の 技能証明の基本技術 (基本技術Ⅱ) |
学校法人浅野学園 国際航空専門学校 | 飛行機と回転翼航空機の ・二等航空整備士の 技能証明(飛/回) ・二等航空運航整備士 の技能証明(飛) ・二等航空運航整備士 の技能証明の基本技術 (基本技術Ⅱ) |
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用 支援機構千葉支部 関東職業能力開発大学校 附属 千葉職業能力開発 短期大学校 | 飛行機の ・二等航空運航整備士の 技能証明 ・二等航空運航整備士の 技能証明の基本技術 (基本技術Ⅱ) |
学校法人日本航空学園 日本航空大学校北海道 | 飛行機の ・二等航空整備士の 技能証明 ・二等航空運航整備士の 技能証明 ・二等航空整備士及び 二等航空運航整備士の 技能証明の基本技術 (基本技術Ⅱ) ・二等航空運航整備士の 技能証明の基本技術 (基本技術Ⅱ) |
学校法人 日本コンピュータ学園 東日本航空専門学校 | 飛行機の ・二等航空運航整備士の 技能証明の基本技術 (基本技術Ⅱ) ・二等航空運航整備士の 技能証明 |
学校法人日本航空学園 (専)日本航空大学校 | 飛行機と回転翼航空機の ・一等航空運航整備士の 技能証明 ・等航空運航整備士の 技能証明の基本技術 (基本技術Ⅱ) ・二等航空運航整備士の 技能証明 |
学校法人君が淵学園 崇城大学 | 飛行機の ・二等航空整備士の 技能証明 |
学校法人ヒラタ学園 大阪航空専門学校 | 飛行機の ・二等航空運航整備士の 技能証明の基本技術 (基本技術Ⅱ) ・二等航空運航整備士の 技能証明 |
学校法人朝日学園 成田国際航空専門学校 | 飛行機の ・二等航空運航整備士の 技能証明の基本技術 (基本技術Ⅱ) ・二等航空運航整備士の 技能証明 |
自衛隊に所属する場合、航空学生
海上自衛隊・航空自衛隊のパイロット等を養成する制度です。
航空学生(海上自衛隊・航空自衛隊)採用試験の合格率/倍率と難易度/偏差値
航空大学校
航空大学校(Civil Aviation College)は、飛行機(固定翼機)のパイロットを養成する省庁大学校です。
近年の卒業者の就職率は、100%に近い高水準で推移しており、定期路線を運航する国内の航空会社への就職が主流でです。
ただし航空大学校の合格者は毎年108名のみですが、出願者数は年々増加傾向で、出願者数が1,000名を超え、2022年時点で倍率は10倍を超え、合格率は10%未満です。
過去問
国土交通省、航空従事者等学科試験の過去問のページにリンクです。
リンクについて航空英語能力証明(音声)を除きPDF形式となります。
合格率と難易度
「航空従事者」の学科試験、実地試験の合格率は非公開ですが、その難易度は偏差値表示で52から65です。
自家用操縦士
自家用操縦士とはこの航空従事者として、最初の段階の航空従事者技能証明の事を指し国家資格者であり業務独占資格
ですが、無償の運航を行う自家用の軽飛行機やビジネスジェットなどを操縦するのに必要な資格です。
なお実際の飛行には、管制塔や他の航空機と交信する必要があり、自家用操縦士については航空特殊無線技士が必要です。
あるいは、航空特殊無線技士の上位資格である一級または二級総合無線通信士か、航空無線通信士ももちろん可能です。
〔PR〕自家用操縦士試験○×式一問一答問題集 Kindle版
事業用操縦士
事業用操縦士とは、略称CPL(Commercial Pilot Licence)、国土交通省管轄の国家資格であり業務独占資格です。
事業用操縦士は、業としての遊覧や報道、航空会社で副操縦士として航空機を操縦するに必要な資格です。※1
※1 新たに「准定期運送用操縦士」が旅客機の副操縦士専用の資格として2013年に新設され、2017年以降に乗務を開始している
〔PR〕事業用操縦士試験○×式一問一答問題集 Kindle版
准定期運送用操縦士
准定期運送用操縦士(Multi-crew Pilot Licence、略称: MPL)とは、航空従事者のうちの1つであり国土交通省管轄の国家資格。
准定期運送用操縦士は、機長以外の操縦者として、旅客等運送(航空運送事業)を行う飛行機であって、操縦に構造上二人を要する機体の操縦を行う資格者の事。
この資格を目指す方とは、これから日本航空また全日空に就職を希望し、旅客機の副操縦士で経験を積み機長になる事に特化して学びたいという方に適しています。
定期運送用操縦士
定期運送用操縦士( Airline Transport Pilot Licence、略称:ATPL)とは、航空従事者のうちの1つであり国土交通省管轄の国家資格であり業務独占資格です。
路線を定めて定期に運航している日本航空、全日本空輸、その他の定期便の機長となるに必要な最上位の操縦士資格です。
航空運行整備士
航空運航整備士その仕事内容とは、 航空機の離発着間に行われる日常的に行われるホイール、ブレーキ等の保守及び軽微な修理をすることができる航空従事者の中の一つを指し、国家資格であり、業務独占資格です。
航空運航整備士と航空整備士の違いは、運行という字の有無で間違われやすいのですが、航空整備士の方が上位資格であり、整備業務全般を行うことができます。
〔PR〕航空整備士の関連書籍
航空整備士
航空整備士とは、航空従事者のうちの1つで航空機の点検・整備を行うのに必要な国家資格(業務独占資格)であり、整備された機体の航空法第19条第2項に規定する確認の行為を行います。
〔PR〕二等航空整備士試験○×式一問一答 Kindle版
〔PR〕一等航空整備士試験○×式一問一答 Kindle版
航空工場整備士
航空工場整備士とは、航空従事者のうちの1つで航空機の部品の整備を行うのに必要な国家資格(業務独占資格)です。
全ての整備ができるわけではなく、その業務の種類についての限定を受け、以下の内容です。
種別として機体構造関係、機体装備関係、ピストン発動機関係、タービン発動機関係、プロペラ関係、計器関係、電子装備品関係、電気装備品関係、無線通信機器関係の9種別になっています。
航空通信士
航空通信士とは、航空従事者として航空機に乗り組み無線設備の操作に行うのに必要な資格です。
操縦士と航空通信士の兼任
操縦士など、航空機に乗り組む運航従事者であって、すでに必要な無線従事者としての国家資格を有する者は、航空通信士の資格を別途に取得する必要はありません。
近年は通信機器の発達により操作系が簡素化され、民間において専任の航空通信士の乗務は無く操縦士が無線通信を行う例が多いのですが、しかし操縦または無線通信に専念しなければいけない業務、たとえば海難救助や捜索などは専任の航空通信士が乗務します。
〔PR〕航空通信士の関連書籍
〔PR〕航空通信士英会話試験対策問題集
免除について
操縦士などの運航従事者資格を有する者であって、第一級総合無線通信士または第二級総合無線通信士または航空無線通信士の無線従事者免許を受けている者は免除されるため
航空通信士の資格を別に取得する必要はありません。
上記の資格ではなく航空特殊無線技士の資格者の場合は、技能証明を申請できないが、運航従事者資格を有する者であれば、航空機に乗り組んで認められた範囲での無線設備操作ができます。
筆者自身が航空無線通信士の7年分の過去問を2回解いた中で、無線工学と法規で繰り返し間違えた問題をピックアップして、航空無線通信士の試験直前に重点的に確認できるように穴埋め部分等を赤字にするなどしたものです。
関連資格
航空従事者の一覧
航空士
機関士
–
コメント